三者協定に基づくオンライン診療
当院は水俣市とAMI株式会社(遠隔医療ラボ:水俣市)との間に三者協定を締結しています。この協定に基づいて、芦北医療圏内における遠隔診療の実証事業に取り組んでいます。
前回は外科外来にて実施されたオンライン診療について紹介しましたが、今回は実際に受診される患者さんを訪問して、どのように受診されているかをご紹介します。
前回の記事はこちらから↓
介護施設ビハーラまどかにて
今回の実証は水俣市石坂川にある介護施設、ビハーラまどか様にて実施しました。こちらの施設は、当院から約10kmに位置しています。距離から見るとそこまで遠くないように思われるかもしれませんが、山間に位置しているため交通アクセスがよくありません。当院を受診する際には施設職員の付き添いが必要となり、また待ち時間を考慮すると患者さんや施設職員の時間が大きく制限されている現状があります。
そこで今回は、ビハーラまどか様に入所されている患者さん2名を対象にオンライン診療を実施し、時間的拘束を解消できないか実証しました。
オンライン診療の効果
今回のオンライン診療は、水俣市内にある深水医院から深水良医師が遠隔聴診対応ビデオチャットシステムと連携した電子聴診器を使用し、当院の医師が一緒に評価するという体制で行いました。
深水先生は今回初めてオンライン診療を体験されたとのことでしたので、今回の実証についてご感想をいただきました。
今回のオンライン診療はどう思われましたか。
非常に素晴らしいと思います。施設のスタッフが医療機関まで介助しなくていいのは大きなメリットです。今回使用した聴診器の具合もよく、清明に心音が聞こえたので、オンライン診療だからと言って対面診療から劣るものではありません。
オンライン診療の可能性はどのような点にあるでしょうか。
遠隔地や過疎地域など、移送が難しい地域にお住いの患者さんに医療を提供できるということです。立地条件からアクセスが難しい患者さんも診療を受けることができますし、込み合った待合室内で待ち時間を心配する必要もありません。また介助者や車椅子といった点についても心配がなくなります。
今回同席していただきました萩嶺淨円(はぎみね・じょうえん)理事長からもお話をいただきました。
「オンライン診療が実現することで、山間地域等アクセスの難しい施設から医療センターの先生に直接診察してもらえることから、朝早くから病院に行って待つということが解消され、利用者さんや職員の負担が軽減するなどメリットが高いと思います。是非継続して取り組んでいただけますようお願いいたします。 」と評価をいただいています。
まとめ:アクセス条件から解放された医療の提供が可能
今回は実際に診療を受ける患者さんの視点からとなりましたが、画面やバイタルデータも滞りなく共有することができました。また事前に採血結果や患部の写真を共有することでスムーズに診察を進めることもできましたので、遠方からの受診によって長い時間を必要とすることもありません。今後は「医療機関では検査のみ実施し、診察はオンラインで」といった対応も可能になるかもしれません。
当院では引き続き、地域医療へ貢献するために様々な取り組みを実施していきます。今後とも皆様のご理解とご協力をよろしくお願いします。
国保水俣市立総合医療センター
情報企画室